語学を中心に2年制の専門学校、一般向けの英会話スクールから英語学習塾まで運営している学校法人では、積極的に全講師対象のセミナーを行っている。入学試験、就職試験の情報や、新しい教授法や、成果を上げた教育実践など、年に数回、外部専門家に依頼している。ところが思ったほどの参加率が得られない。そこでeラーニングを考えた。
セミナーを録画して見てもらう
たとえば、アクティブラーニングだ。なぜ、アクティブラーニングなのか、これまでのグループ学習や発表学習とどこが異なるのか。実際にアクティブラーニングを導入している大学の講師によるセミナーを開いた。参加者の評価は非常に高く、セミナー後も講師を取り囲んでの質問タイムが続いたが、参加率は低く、用意した教室が大きすぎると感じられたほど。
事前に、各講師の出勤状況、授業の空き時間、学校行事との兼ね合いなど、熟考して決定したはずの日程が見事にはずれた。そこで、セミナーを録画してDVD化、貸し出しや配布はできないが、いつでも見てもらうことができる準備をしたが、ほとんど役に立たなかった。
録画した動画を配信する
セミナー参加も録画視聴も、会議出席にカウントして報酬の対象としている。しかし、「時間の都合がつなかい」が理由で、参加を見送る講師がほとんどだった。視聴については、わずかに見に来てくれた講師から、90分は長い、眠くなると不評だった。そこで、学生用のeラーニングアカウントに余裕があったことを利用、動画を見直してトピックごとに分割、eラーニングシステムで配信した。
その効果を見ると、
・すぐにではないが、3ヶ月ほどの間に、8割近い講師がアクセスして見ていた
・複数回見たり、講師同士で内容について話し合ったりということも起こった
・視聴アンケートで、何に興味を持ったか、さらに何を知りたいかなども見えてきた
実は、動画を分割せずに流すという案もあったが、実際に担当者が自分たちで見ても、90分はつらいと感じて、分割配信に踏み切った。手間はかかったが、何よりもセミナー視聴者が大きく増えたこと、アクセスログやアンケートでこれまでよりも反応が分かったことから、セミナーの動画配信を本格化することになった。
この記事のまとめ
録画したものをそのまま動画として配信するよりも、一手間掛けることで、いつでもどこでもスキマ時間が使えるようになり、視聴者数や回数もアップする。「全員参加」の呪縛から解放され、日程調整や実施準備、不参加者対応などの時間とコストも削減できる。理解してほしいことや浸透させたいことは、何度でも気軽に見られる状態が作り出せるeラーニングが有効だ。