近年、企業・従業員の双方がリスキリングに大きな関心を抱くようになりました。さらに、政府もリスキリングを支援する政策を打ち出しており、補助金や助成金が整備されています。企業にとっては社員のリスキリングに国からの補助を活用できることとなり、これを活かさない手はありません。
そこで今回から4回にわたって、企業のリスキリング事情から活用できる補助金や助成金の紹介、そして具体的にリスキリングを進めていく上で知っておきたい知識を解説していきたいと思います。
※なお、当記事の補助金・助成金に関する情報は2025年4月時点のものです。
それぞれの立場でリスキリングに注目している理由
リスキリングとは、企業の社員などが新しい知識やスキルを身につけることです。
すでに何らかの業務でプロとして活躍している人が別の分野のスキルを身につけることを意味するわけですが、このリスキリングにはそれぞれの立場にとって多くのメリットがあります。
最初に、社員、企業、そして政府のそれぞれがリスキリングに注目している理由を押さえておきましょう。
・社員にとってのリスキリング
社会や労働市場が変化し続け、さらにAIが目覚ましい進歩を遂げるなか、今持っているスキルが陳腐化してしまい、自分が不必要になってしまうのではないかという漠然とした危機感を持つ人は少なくありません。。
リスキリングによって自らの人材的価値を高めることは、社内における評価が向上するだけなく、特定の企業だけにとらわれない多様な働き方にもつながります。キャリアアップの手段としてのリスキリングの有効性は、極めて高いでしょう。
・企業にとってのリスキリング
おそらく経営者の方は、一般社員以上に社会の変化に敏感でしょう。社会や市場の変化に対応し続けるために、最新のスキルを持った人材を一人でも多く社内に配置することが重要です。また、リスキリングによってマルチスキル人材を育成することは、人手不足の対策としても効果的です。
今や、企業の持続的成長においてリスキリングは必須ともいえるでしょう。
・政府にとってのリスキリング
日本や日本経済を取り巻く環境が激しく変化するなか、それに対応できる人材の育成や確保は国レベルでも喫緊の課題となっています。また、現在政府が推進している賃上げにおいても、リスキリングによる生産性向上が必須とされています。
こうした政策を反映するために、政府は企業がリスキリングに活用できる各種の補助金や助成金制度を設けています。
リスキリングへの関心が高まっている主な分野
企業のリスキリングでは、どんな分野の知識やスキルを高めることに関心が集まっているのでしょうか。業種によって傾向は異なると思いますが、全体的に以下のような分野へのニーズが高まっています。
・DXへの取り組みに必要なスキル
・サイバーセキュリティ
・データサイエンス
・デジタルマーケティング
・外国語
・AIの活用
・Webデザインから管理、運営
もちろんこれら以外にも多くの分野がありますが、IT分野や外国語など、肌感覚でもこれから役に立ちそうなスキルばかりだと思います。
メリット多数のリスキリングをリーズナブルに実践可能
リスキリングは社員、企業、政府のそれぞれが熱視線を送るほど、メリットの大きい取り組みです。政府は政策レベルでリスキリングを支援しており、そのための補助金や助成金の制度を設けています。
具体的には、以下の制度がリスキリングのための費用に利用できます。
・人材開発支援助成金(厚生労働省)
・IT導入補助金(経済産業省)
・リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省)
内容や受け取れる金額、実施母体などは異なりますが、それぞれ企業のリスキリングに活用できるものばかりです。社員と企業にとっては、メリット多数のリスキリングを低コストで実施できることから、近年ではこうした制度を活用した企業のリスキリング事例が増えています。
「リスキリングの必要性を感じつつも、費用がネックになっている」といった企業の方々は、こうした制度を活用することでコストを抑えられる可能性がある、ということをまずは押さえておいてください。
この記事のまとめ
・特に企業にとって、リスキリングは持続的な成長に欠かせない取り組み
・IT、DX、外国語での分野に高い関心
・補助金/助成金を活用すると、低コストでリスキリング研修を実施可能
#リスキリングと補助金/助成金
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